#127  電車での出来事

#127 電車での出来事

#127  電車での出来事

少し前の話。

午前中に打合せを終え、平日の昼間にしては、少し混んでいた銀座線。

11歳くらいのジャージ姿の女生徒さんが5名、横並びに座っていた。

私が前に立ったところ、

中央の生徒さんがスックと立ち、私に「どうぞ」と仰る。

ビックリして「え~⁈ 大丈夫ですよ」と言うも、

もう座らないと心に決めた様子。

席をお譲りする事はあっても、譲って頂いた事はないぞ。

ただ、こういう場面でキッパリ断られた時の虚しさも良く知っている。

そういう事はしたくない。

・・・・

また別で、「何故、私に?」という疑問と、嬉しいような恥ずかしいような、謎の感情もぐるぐる巡って、大いにマゴマゴする。

照れ隠しで「真ん中座るの、恥ずかしいし…」と体をよじりながら言うと、直ぐさま連携プレーで端の席をあけて下さる。

良いチームだ。

こりゃ座らなイカン、有難い、と覚悟を決め、

周りにお年寄りや妊婦さんがいないことも確認して、

「ありがとうございます!」と声をはって、座らせて頂いた。

とっても温かいほっこりした気持ちとあなた達は素敵です、と伝えたい気持ち。

その反面、私が老人にみえたのか?(それはない!)

疲れて不機嫌な顔をしていたのか?(あるかも)など、

座ってからも、感情はずっと収拾がつかない。

譲って下さった子も、仲間の前で照れ臭い様子。

ほんの一瞬が、とても長く、お互いに幸せな気持ちだったと想像する。

とても素敵な出来事に感謝した。

・・・・

で、これで終わりたかったが、続きがある。

暫くして、近くに荷物をもったお婆さんが乗ってきた。

こんな有難い席を独り占め出来る訳もなく、直ぐさま席をお譲りしようとしたら、「結構です、直ぐおります!」の完全シャットアウト。

それを生徒さん達も横目でみていて、不穏な空気が漂う。

もう一回「お荷物だけでも、お持ちしましょうか」も知らん顔。おばあちゃ~ん…💧 そんでもって、結構、降りないじゃーん…。

これだけで終わらない・・・

その後、もう一人お爺さんがやってきて、譲ろうとするも

「座るのが面倒くさい」と仰る。こういう日もあるのね。

・・・・

何だか、生徒さん達にとっても申し訳ない気持ちなり、悲しくなる。

断られることは全くもって平気だけど、思い切り断られる私をみて、あの子達は嫌な思いをしてないかな、と。

いたたまれなくなったのか、隣りの生徒さんが席をたち、その子と移動してしまった。

私は、最後に、しっかりお礼を伝えたかったのに叶わず。

私は、親切にして貰えたことが嬉しかったし、それをお裾分けしたかった。

これからも、あのままの彼らであって欲しい、と真に願う。

そして、私に席を譲ってくれたのは、

彼らの「年長者を敬う心」だと、信じている。

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