124 征服されざるもの
先日、国際宝飾展に
「語り継がれてきた宝石~美しさの源と価値の仕組み~」
という講演を受けに行きました。
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GIA米国宝石学会、宝石鑑定士G.G.資格を日本人第一号として取得された諏訪貿易株式会社会長 諏訪恭一さんの講演だ。
宝飾業界の尊敬する大先輩がいつも
「諏訪貿易さんを知らない宝石業界人はモグリだよ」と
口癖のように言っていた方だ。
確かに、6月まで上野の国立科学博物館で開催されていた企画展でも、たくさんの所蔵宝石を展示協力されていた。
歴史と格式のある老舗宝石商さんです。
その宝石業界の神様みたいな方の講演だったので、受講者も満員で驚きました。
いつもはガラガラのIJTのセミナーなのに。
スゴイ方なのだと実感。
内容も熱い信念が伝わり、言葉に力があると感動しました。
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その中で、アンカットダイヤモンドとの出会いや価値について語られていたのが印象的です。
アンカットダイヤモンド、手つかずの発掘されたままのダイヤモンド。
原石のまま、美しいダイヤモンドです。
ダイヤモンドの語源は、
ギリシャ語でアマダス「征服されざるもの」の意味。
世の中で一番硬く、加工できなかったことに由来すると思うのですが、
諏訪会長は、本当の「征服されざるもの」と呼べるのは、このアンカットダイヤモンドだけ、とのこと。
15世紀に技術が進化して、八面体の形の悪い原石、光らないものなどが、カットされて輝くダイヤモンドになった。
この研磨されたダイヤモンドは、人に形を変えられ磨かれ、それで輝くようになる訳で、
それと比べると、もとから美しさを持つアンカットは、人の手が及ぶことは叶わない。
美しさが強さであり、「征服されざるもの」なのだ。
以前、諏訪貿易の敏腕バイヤーさんにきいたのは、
諏訪さんが扱うアンカットは、
本当に美しいモノだけを選ぶので、とても希少だそう。
通常のダイヤモンド原石を買い付ける時に、
特に綺麗なモノだけをよけてもらい、仕入れるのだと仰っていました。
聞けば聞くほど、魅力的です。
書いていたら私も欲しくなってきました。笑
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講演後の諏訪貿易の営業さんに並ぶ、長蛇の列をみると、
みなさんも完璧に魅了されていたご様子。
また、レアになっちゃいますね。