#108 リメイク日記
少し過ごしやすい涼しい日が続いていましたね。
今、リメイクにお預かりしているジュエリーがいくつかあるのですが、お話を伺いジュエリーの状態を確認する中で、
最終的に、リメイクせずにお戻しするものもあります。
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本来、お預かりしたものは、全てリメイクさせていただきたいのですが、
リメイクせずとも、充分に魅力的で貴重なデザインだと思う場合は、その魅力や使い方もお伝えして、そのままお持ちになることを、割と頻繁に、おススメしています。苦笑
作者の意図が理解できる(良く考えられている)ジュエリーは、同じ作り手として、作り変えることが申し訳ない気持ちにもなったりする訳です。
今回、お預かりしたリングもその一つ。
1950~60年代ごろに多く作られたデザインだそうで、私の母もこのタイプのリングをいくつか持っていました。
石座の下の繊細な透かし模様が特徴です。
別のお客様からお預かりしている中にもありましたが、
スクウェアの石は珍しく、多くはオーバルかマーキスカット。
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アメシストも大きくて美しく、ジオメトリックでアールデコ建築のような風合いが素敵です。
まるでエンパイヤステートビルのようで、段々にシャープに、そして丁寧に、透かされた細工がキレイです。
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モダンな印象なので、少しアーティステックな雰囲気のお客様に「とても良く似合うのにぃ!」と最初からそう思っていました。
ご本人さまは、大きすぎて違和感があるそう。
確かに、お若くて華奢なので、そう感じるのも理解できる。
石もリカットして小さくすると考えておられたようですが、宝石をよく解っていらっしゃるお姉様にも止められ、笑
合うサイズにお直しし新品仕上げをさせて頂き、このままお使いいただくことになりました。
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で、私の心境は「ホッとしてガッカリ💧」
素敵なリングを解体せずにホッとしている反面、
魅力的なフォルムの大きなアメシストは大好物だった訳で、
どうデザインするかワクワクしていたのでした。
でもね、良いものは時を越えても良くて、
大切に受け継がれたリングだからこそ、おばあさまが選ばれたこのデザインが素敵だと、心からそう思います。
アメシストの大きさも、年を重ねればしっくりくるハズ♪
職人さんも今ではこんなリングつくれないよ!と褒めてくださいました。
そんなエピソードもそえて、受け継がれれば嬉しいです。