#67 ブレスレットつづき。
前回は最終的なデザインにたどり着くまでのお話(#65)
今回は、実際の製作工程について。
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このブレスレットの一番の魅力は、
鋳造や量産品では出せない、線の美しさ だと思っています。
淀みのない金属の直線と曲線、緊張感のようなもの、があると思っています。
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通常、ジュエリー加工の工程は、
原型をつくり、それを元にコピーをいくつも鋳造して、一気に仕上げていきます。
また今では、テクノロジーの進化で、3Dプリンターなるものもあり、こういったパーツが手軽に驚くような速さと精度で、簡単に作られることも珍しくありません。
そんななか、このブレスレットには原型はなく、
まずは、金属(シルバーと18金の塊)から直径1.6㎜φの線材をつくり、加工がはじまります。
時代と逆行するような工程で作り上げられていきます。
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1.6㎜φの線材を、測って切って曲げて真っ直ぐにして、一つひとつ火とロウ材を使って溶接のようにつなぎ輪をつくる。輪がつながった所で、再びフォルムを整え、磨き上げる。
長い輪ほど、そり返り真っ直ぐにするのが困難だそう。
最初から最後まで手仕事。きっと大昔と何ら変わらない作り方。
熟練した職人さんでも、相当な時間と労力がかかり、
少しでも気を緩めれば、直ぐに歪んでしまうことでしょう。
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10年以上前に鋳造でつくった線型のパーツは、一定の美しさはあったけど、金属なのに、ぼやけた印象が見え隠れして、とても心残りだった。
それは、工程での違いで、量産品としては仕方のない話だったのだけれど、このブレスレットをみると思い出してしまう。
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職人さんは、このブレスレットのデザインが一番美しく仕上がることを考え、この工程で作ってくださっている。
効率や利益を考えると、「慈善事業」だそう。笑
(激しく同意。)
本当にありがたいことで、感謝しかありません。
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モノづくりに費やした時間、手間、技術、つくり手の想いや誠意は、見えないものだけど、必ず伝わる。と考えます。
美しさという熱量となって、ジュエリーに宿っている、そう思うのです。
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ちゃんと恩返しできるようにならんとイカンなぁ・・・。